確認のため、3次関数をもう一度書くと、
となる。
今回は、対称性の考察からx0 = -1/2という解を幸運にも見つけ出すことができた。因数分解により、残りの2つの解は2次方程式を解いて得ることができる。実数解の条件である判別式が正の場合(D=(4k+3)(4k-1) > 0)、 つまり k < -3/4、あるいはk > 1/4において、残る2つのの接点のx座標は
と計算される。
a=2x0、b=x02+k = 2(k + 1/4)x0 + k - 1/4を使って共通接線を引いてみると、「たすきがけの解」の意味あいがはっきりする。例によってpostscript言語によって図を描画してみると次のようになる。まずはわかりやすいk=1( > 1/4)の場合から。
k=1の場合。共通接線は3本引ける。赤線が「蛾の羽の先端解」。緑と青の線が「たすきがけの解」 |
次はいよいよk=-2 (< -3/4)の場合だ。「蛾の羽の先端解」以外の解が、果たして「たすき掛けの解」に似たようなものになっているのか、それとも全く異なる想像を絶するようなものなのか?
k=-2の場合。「たすき掛け」は放物線の「外」に出ている。 |
k < -3/4の領域でどのように3本の共通接線が存在できるのか、直感的な理解はできた。しかし、第二臨界点であるk= -3/4では、たった1本だった共通接線が、k < -3/4の領域に入った途端、突然3本に増加するという、このメカニズムは、いまだに理解しがたいものがある。なんとなく、蛾の羽の先端が開くとき、一気に縮退が解ける感じは想像できるのだが、図をつかってその様子を明らかにしておこう。
臨界点からわずかにずれた、k= -3.001/4.0 あたりを見てみよう。
k= - 3.001 / 4.0 の場合。 |
第一臨界点(k= 1/4)での縮退の正体は、共通接線が対称線y=xに重なるというものだった。たしかにy=xはy=xに対して「線対称」ではあるが、y=xとは直交してない。このため、縮退が解けても、線対称の関係にある青線と緑線の2本しか発生しなかったのである。直交する共通接線、つまり蛾の羽の先端解はひとり別のところ(x0=-1/2)で、y=xに直交する共通接線を作っていたのである。
さて、この辺りで試験問題の解答も解いておこう。a=2の場合である。問(1)ではb, kをaで表現したので、それを使えばよい。が、あの表式はa≠ -1, 0という縛りがあったのを忘れるべからず。とりあえず、a=2の計算はできるので計算すると、k = 3/8を得る。また、b = -5/8である。
今まで見た来たように、この問題でもっとも重要なのはパラメーターkである。k=3/8というのは第一臨界点k=1/4の上部、すなわち 3/8 > 1/4にある。この領域で、共通接線の数は3本あることを我々はすでに知っている。また、この時「蛾の羽の先端解」と「a=2に線対称な解」があることも我々はすでに知っている。蛾の羽の先端解の場合、傾きは常にa=-1である。接点はもう何度も出て来たようにx0=-1/2である。ここで導いた関係式b = -x02+kを使ってb=1/8が得られる。対称解は、すでに得られた答えy=2x-5/8に対して、x,yの交換を行なって求める。交換するとx=2y-5/8、したがって、y=(1/2)x + 5/16である。
一般にy=xに線対称な2本の直線は、片方がy=ax+bという形なら、残りはy=(1/a)x - b/aという形になる。つまり、傾き同士の積が1となる。これは、直交する2本の直線の傾き同士の積が-1になる、というよく使われる関係式によく似ている。きっと、またどこかの問題で使えるはずである。
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