問 (4) an+1 と an の最大公約数を求めよ。nが偶数でも奇数でも、隣り合う、「パリティ」の異なる2種類の数列要素の間の最大公約数を考えることになるので、考え方は同じになる。従って、nを偶数と仮定して議論を進める。(nが奇数の場合は、議論の中で「パリティ」の異なる成分に入れ替えるだけでよい。)
まず、問(3)の結果から、全てのnにおいて、数列の要素anは約数2を持つことがすぐに結論できる。それはkが偶数の場合の因数1+(-1)k=2に由来する。この「2」はkにもnにも依存しない共通の因数であるから、任意のnに対して、an+1とanの最大公約数の第一候補に挙げられる。実際、n=1,2,3,4あたりまで具体例で計算してみると2が正解らしいことが推測されるし、実際の正解も2である。
気になるのは、特別なnの値、例えばn=n1において、偶然n1に依存するような形で公約数が現れはしないか?という疑問である。もしn1が非常に大きな数、たとえばn1=123456789とかだったとしたら、n=1,2,3,4あたりまで具体例で計算したら2でした、なんてのは無駄な話となる。
n=n1でan1 とan1+1が公約数Lを偶然持ったとする。すると、(2)で得た漸化式a1an = an+1 - an-1 によって、an1+2も公約数Lを持つことになる。つまり、偶然どこかで公約数が偶然変更されるようなことがあれば、それはその後の要素にも引き継がれることになる。つまりn>n1に属する任意のnにおいて、an+1とanの間に、nに依存しない最大公約数2Lが存在することになる。果たして、こんなことがあるかどうか調べてみよう。
まずは2項展開で得た式を見直してみる。ただし、和の部分はkについて偶数だけをとる、とせずにk=2jと書いてj=0, 1, 2,...で和をとるように書き直す。すると
和の部分を具体的に書き下してみる。まずは奇数の場合(n=2m+1)から。ガウス記号が効いて、二項展開の最後の項は省かれてしまうため、
となる。各項をよくみると、μが共通因子となって取り出せることがわかる。したがって、nが奇数の場合は
と因数分解できる。ただしn=2m+1として、
である。初項(最終項)は、μ(ν)のみの2m(m)次式がになっているので、互いに素の場合には(自明な)共通因子は存在しない。
次に、nが偶数の場合は和の部分は二項展開における最高次の項がμに関してもνに関しても取り込まれるので、μとνが互いに素の場合には、新たな(自明な)共通因子はない。したがって、
ただし、n=2mとして
である。
問題ではμ=2, ν=5であり、共に素数である。この場合はNmもMmもともに奇数であることは容易にわかる。(それぞれの最終項は奇数だが、それ以外項はは2の倍数になっているので。)また、2と5は当然互いに素なので、μとνの間に公約数はない。
NmもMmも奇数であるから、もしこれが因数分解できるとしたら、それは奇数同士の積となる。したがって、Nmがたまたま偶数となって、nが奇数の場合の因数2μ=4が公約数になることはない。つまり4が最大公倍数になることはない。最大公倍数は2あるいは2×奇数の形になる。
上で考察したように、 仮にあるn=n1において、たまたま奇数の因数2L+1がNmとMmに発生したとする。しかし、この因数はn>n1でも因数となり続けることも上で確認した。だとすると、NmやMmの中に、mに依存しない共通因数がn>n1において延々と発生し続けることになるが、MmやNmはμとνの多項式であり(μとνは互いに素)、どの項もmに依存した数になっているので、この多項式がmに依存しない因数を含むことはありえない。
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