2017年3月5日日曜日

東大2次試験(2017): 問題5(その0)

引き続き、2017年の問題を見てみる。今度は問題5。
問題文はクリックすると拡大できる。
問題4でもちょっと議論したが、この問題でも「対称性」の考え方が利用できる。というより、こちらの問題の方がもっと明示的な形で対称性が見えるので、問題を解く前に、まずは直接グラフ化して、この問題と物理学との関連性を見てみよう。

[対称性について] 
この問題の対称性はxとyの交換に対する対称性である。 放物線CとDはこの交換によって、入れ替わる。つまり、CとDのグラフはy=xに対して線対称の関係があることがわかる。まずはk=4の場合について図示してみよう。
k=4の場合。y=xに対してCとDは対称になっている。

試験問題では、CとDの共通接線を考えることになるのだが、その観点からすると、グラフのタイプ はパラメータkによって分類できることが推測される。上の場合は放物線がy=xと交わらないタイプ。

次は、交わってしまうタイプを見てみよう。k=-3に選んである。
k=-3の場合。
なんとなく、蛾のような蝶のような形に見えるが、共通接線は「羽」の先端に一本しか引けないような気がする。k=4の場合は、なんとなくタスキがけに行けそうな気もしないでもないが、確信は持てない。ただ、問(2)で3本の共通接線...とかなんとか言っているので、この場合なのかもしれない。

こうなってくると、y=xと交じる、交じらない、の中間の場合、つまり接する場合が気になってくる。こういうのは、物理では「臨界点」とかいうときもあるのだが、この問題ではk=1/4の場合がそれにあたる。
k=1/4の場合。
 この場合の共通接線の一つはy=xであるから、共通接線は2本引けることが予想される。そうすると、k>1/4の場合はやっぱりタスキがけの2本と、「羽の先端」に一本と、全部で3本ありそうな気もしてくる。

超流動の研究で、臨界温度Tcというのが出てくるが、臨界値を境に、超流動状態と常流動状態が相転移する。この問題でもk=1/4が臨界値になって、共通接線の本数が変化すると考えれば面白いだろう。共通接線の数は自然数だから、この「転移」は「連続変化」である。が、一応「量子化」されているので「相転移」と呼んでもいいのかも...

この「臨界値」の求めるには、当然ながらy=xとy=x2+k(あるいはx=y2+k)の連立方程式(2次方程式)の、判別式=0を解けばよい。臨界値k=1/4の「4」は、判別式の公式、D=b2-4acの4に由来する(この2次方程式の係数はa=1, b=-1, c=kなので)。

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