2013年4月1日月曜日

円錐曲線の幾何学的な意味:放物線(2)

「放物線で反射した光線は、y軸上にある焦点に集まる」という性質があることを確認しよう。

まず確認する必要があるのが、光の反射の法則。鏡などの反射材の表面で、光がどのように反射するか考える。物理では、反射面に垂直な方向から測った光線までの角度を使う。入射光に対する角度を入射角、反射光に対する角度を反射角という。それぞれ、θ、φと表すことにする。反射の法則は、θ=φで表される。非常に簡単な法則だし、直感とよく馴染むから「自明」のように思う人も多いだろう。どうしてこの法則が成立するのか、その理由についてはここでは考察しないでおこう(またの機会に)。
反射の法則
放物線を鏡面にもつ材質に光線を当て、反射光がどの方向に進むか計算してみよう。もちろん、放物線で反射する光が従う法則も、上で確認した「反射の法則」だ。ただし、放物線は曲線なので、反射角や入射角をどのように定義したらよいか戸惑う人もいるかもしれない。そこで登場するのが「接線」だ。

放物線で反射する光(水色の点線)。
入射光は水色の実線。反射点はP。
上図のような状況を考える。光線(水色実線)が、鉛直方向下向きに進んで、放物線の上にある点Pで反射する。反射した光(水色点線)が進んでいった先を知りたいわけだが、幾何学的に表現するために、反射光に対応する直線のy切片を計算することにする。(放物線の性質から、答えは「焦点Qに集まる」という結果になることを期待するわけだ。)

まず点Pの座標をP(x,y)とする。もちろん、y=(1/4c)x2が成り立つ。

点Pにおける放物線の接線の方程式を知りたい。まず傾き(英語ではgradientという)を計算する。曲線y=f(x)の傾きは、その微分df(x)/dxで得られるから、y'=(1/4c)2x=(1/2c)xということになる。入射光線の位置をx=dとすると、接線の傾きはd/2cで与えられる。