積事象についてまとめておこう。事象Aと事象Bの積事象とは、事象Aに対応する集合Aと事象Bに対応する集合Bの「共通部分(重なり部分)」に対応する事象のことであり、\(A\cap B\)と表される。和事象の関係式を変形すると、
\[
A\cap B = A+B - A\cup B
\]
とも表せるが、あまりこの式は重要ではない。
積事象の確率\(P(A\cap B)\)を\(P(A)\)や\(P(B)\)を使ってどのように表すことができるかが一番の興味だが、和事象の場合と同じように、条件によって表現が変わる。
和事象では「排反」という概念が重要だったが、積事象では「独立」という概念が重要となる。一般には、
\[
P(A\cap B) = P(A|B)P(B) = P(B|A)P(A)
\]
などと表すことができるが、\(P(A|B)\)とか\(P(B|A)\)という確率が何を表すかが重要となる。これらは「条件付き確率」と呼ばれる。
結局、積事象とは、「Aであり、かつBである」ということだから、「Aが成り立つ」とか、「Bが成り立つ」という単発の条件は、必要条件とみなされる。したがって、積事象が成立するには、「まずBが成り立ち、その上でAも成り立つ」、あるいは「まずAが成り立ち、その上でBも成り立つ」という具合に考える必要がある。上の式の\(P(B)\)とか\(P(A)\)というのが、「まずBが成り立ち」とか「まずAがなりたち」という部分に相当する。ということは、\(P(A|B)\)というのは「(Bが成り立ち)その上でAが成り立つ」という部分に相当する。
独立事象というのは、P(A|B)=P(A)、あるいはP(B|A)=P(B)と書けるかどうか、という点で重要な概念であり、数学的には
\[
P(A|B)=P(A|B^C)
\]
が成立するとき、つまりBであろうとなかろうと、Aの確率が一定であるとき、
\[
P(A|B)=P(A)
\]
が成り立ち、積事象は
\[
P(A\cap B) = P(A)P(B)
\]
となる。
つまり、P(A|B)の値がBに依存しないとき、AとBは「独立事象」である。このとき、
\[
P(A|B) = P(A), \quad P(B|A) = P(B)
\]
であり、
\[
P(A\cap B)=P(A)P(B)
\]
となる。
たとえば、同じサイコロを2度振る事象を考えよう。1回目のサイコロの目という事象を\(A_1\)、2回目のサイコロの目という事象を\(A_2\)とすると、\(A_1\)と\(A_2\)は独立であるから、\(A_1A_2\)は\(A_1\otimes A_2\)と表せる。\(A_1A_2\)の全事象Uの要素はしたがって6x6=36個となる。
一方で、男女50-50%の集団を、喫煙/非喫煙で分けたとき、喫煙者の男女比が50-50となり、非喫煙者の男女比も50-50となるだろうか?もしそうならば、喫煙の有無と男女との間には関係(相関)はないから、それぞれの事象は独立となる。しかし、現実にはそうならず、喫煙者には男が、非喫煙者には女が多く含まれ、喫煙有無と性別は「独立な事象」とは認められない。
以上の内容は、こちらのノートを参考にした。
0 件のコメント:
コメントを投稿