2019年1月21日月曜日

センター試験数学II (2019) : 対数と指数

ようやく2019年の問題が公開されたので、さっそく数IIの指数/対数の問題を解いてみよう。今年は、指数と対数が混ざった問題で、結局は連立方程式を解くことになるパターンだった。

与えられた式は、対数関数の方程式と指数関数 の方程式、ひとつずつ。
\[
\log_2(x+2)-2\log_4(y+3) = -1 \\
\left(\frac{1}{3}\right)^y - 11\left(\frac{1}{3}\right)^{x+1} + 6 = 0
\]

まずは、対数の方程式から簡単にしていこう。一目瞭然なのは、この方程式は初項と第二項で底が一致していないので、揃えることにする。\(4=2^2\)なので、底は2で揃えるのが便利だろう。
\[
\log_4( y+3) = \frac{\log_2(y+3)}{\log_2 2^2} = \frac{1}{2}\log_2(y+3)
\]
であるから、最初の方程式は
\[
\log_2(x+2) -\log_2(y+3) = -1 \Longleftrightarrow \log_2\left(\frac{2(x+2)}{y+3}\right) = 0
\]
と変形できる。\(\log_2 1 = 0\)だから、
\[
y= 2x + 1
\]
という線形方程式が出てくる。つまり、最初の式は、結局はこの簡単な線形方程式にすぎないのに、「わざわざ対数表現を使って、「京都弁」のような持って回った表現をしていたということだ(京都の皆様、ごめんなさい)。しかし、注意する点が一つだけある。それは、最初の対数方程式と、上の線形方程式が対応している場所が、真数条件によって限られているという点である。その条件を満たさない場所では、両者は等価とはいえない。等価であることがいえる領域とは、
\[
x+2 > 0, y+3 > 0
\]
である。この条件は後で方程式の解を決めるときに重要な役割を果たす。 

次は2つ目の式の変形に移ろう。この式は特に京都風の表現になっているわけではないが、上の線形関係を代入することで2次方程式と等価であることが示せる。yを消去するパターンを問題では想定しているが、両方でやってみよう(こういう考察は新しい共通試験の対策にもなるので)。

まずはyを消去する。この場合、指数に分数が登場しないので面倒なことは発生しない。
\[
 \left(\frac{1}{3}\right)^{2x+1} - 11 \left(\frac{1}{3}\right)^{x+1} + 6 = 0
\]
この問題は教科書によく出ているタイプの方程式で、\(t = (1/3)^x\)という変数を導入して書き直すのだ。そうすると、
\[
\frac{1}{3}\left(t^2 - 11 t\right) + 6 =0
\]
となる。両辺に3をかけて因数分解をすると、上式は\((t-2)(t-9)=0\)とまとまるので、この2次方程式の解は\(t=2,9\)、すなわち\((1/3)^x = 2, 9\)を得る。両辺の対数をとると
\[
x\log_3\frac{1}{3} = \log_3 2, \log_3 3^2 \Leftrightarrow x = -\log_3 2 , -2
\]
という結果を得る。しかし、真数条件により\(x>-2\)であるから、2つ目の解は除外しなくてはならない。したがって、答えは\(t=2\)のとき、すなわち
\[
x = -\log_3 2 = \log_3\frac{1}{2}
\]
である。この結果を線形関係式に代入すると\(y=\log_3\frac{3}{4}\)を得る。

問題では、真数条件をtに対して再解釈させているが、この問題に答えるには指数関数の性質を利用する。tとxの関係を
\[
t(x) = \left(\frac{1}{3}\right)^x  =3^{-x}
\]
という関数だと考えればよい。まず、負冪の指数関数は単調減少のグラフとなり、\(x\rightarrow\infty\)で0に収束する(\(t(x)\rightarrow 0\))。したがって、t(x)の上限値はxの下限\(x\rightarrow -2\)に対応するから、t(x)<9である。t(x)の下限は、収束値と単調減少性を考慮すると\(x\rightarrow\infty\)のときだから0となる。まとめると、0<t(x)<9が答えとなる。

参考のためにyでまとめたらどうなるかやってみよう。x = (y-1)/2だから、
\[
\left(\frac{1}{3}\right)^y - 11\left(\frac{1}{3}\right)^{\frac{y-1}{2}} + 6 = 0
\]
となる。一番自然な選び方は
\[
s = \left(\frac{1}{3}\right)^{y/2}
\]
だと思うので、これを採用すると、上式は
\[
s^2 - {11}{\sqrt{3}}s + 6 = 0 
\]
となり、無理数を係数にもつ2次方程式となる。この方程式は解けないわけではないが、xについてまとめた場合に比べて格段に面倒臭いのがわかる。来年の受験生なら、計算力のトレーニングのために、やり続けるのはためになるだろう。再来年以降の受験生なら、どうしてyではなく、xについてまとめた方がいいのか、その理由を考えるというのは、よい勉強になると思う。もちろん、その答えの一つが「無理数の係数が入るから」であるが、そのほかにもあるかどうか、いろいろと分析してみたらよいだろう。







0 件のコメント:

コメントを投稿