先ほどの問題では、三角形の角を二等分する直線について考えた。この直線は内接円の中心を通るわけだが、そこを突き抜けて対辺と交差するとき、その交点Pは、内接円の接点Rとは異なることを確かめた。
ここでは、点Rではなく、点Pのもつ性質について考えてみたい。内接円の半径を求める時、面積を利用した手法を導入したが、ここでもその手法が使える。ここで証明したい性質は、
\[
CP: BP = OC: OB
\]
だ。二等分線の性質、および面積を使って証明できる。
\[
S(\triangle OPC) = \frac{1}{2}OC\cdot OP\sin\theta = \frac{1}{2}CP\cdot h\\
S(\triangle OPB) = \frac{1}{2}OB\cdot OP\sin\theta = \frac{1}{2}BP\cdot h, \\
S(\triangle OBC) = \frac{1}{2}OB\cdot OC\sin(2\theta)
\]
が成り立つ。ただし、hというのは、点Oと線分BCの距離である。
故に、
\[
\frac{S(\triangle OPC)}{S(\triangle OPB)} = \frac{OC}{OB} = \frac{CP}{BP}
\]
となり、与えられた性質が証明できた。
また、\(S(\triangle OBC)=S(\triangle OPC) + S(\triangle OPB)\)であることから、
\[
\frac{1}{2}OC\cdot OP \sin\theta + \frac{1}{2}OB\cdot OP \sin\theta
= \frac{1}{2}OB\cdot OC\sin(2\theta)
\]
がなりたつ。これを整理すると
\[
OP = \frac{2bc}{b+c}\cos\theta
\]
という関係式が得られる。ただし\(b=OB, c=OC\)とした。
たとえば、今年(2019年)のセンター試験の数IA問題5の場合、\(b=4, c=5,\cos\theta = \sqrt{\frac{2}{5}}\)だから、\(OP=\frac{8}{9}\sqrt{10}\)と計算できる。
さらに、三角形OBPについて余弦定理を適用すると、
\[
PB^2 = OP^2 + b^2 - 2b\cdot OP \cos\theta
\]
となるが、最初に証明した辺の比に関する関係式により、
\[
PB = \frac{ab}{b+c}
\]
が成り立つ。ただし、\(BC=a\)とした。これを代入すると、
\[
\left(\frac{ab}{b+c}\right)^2 = p^2 + b^2 - 2bp\cos\theta
\]
が成立する。ただし\(OP=p\)とした。
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