この問題は、とにかくf(x)-g(x)という関数を微分して単調増加であることを示し、f(x)>g(x)が常に成り立つことを丁寧に示せば解ける。
ここでは、この問題においてどうしてこのような不等式が成立しているのか考えて見たい。まずは、テイラー展開を適用してみよう。一般の関数(ただし無限回微分できる性質をもつもの)f(x)のテイラー展開は、次の公式により与えられる。
f(x+h)=f(x)+df(x)dxh+12!d2f(x)dx2h2+⋯=∞∑n=01n!dnf(x)dxnhn
この公式をもちいてlog(1+x)などの関数をテイラー展開してみると
log(1+x)=x−x22+x33−x44+⋯
x√1+x=x(1+x)−1/2=x(1−x2+38x2−516x3+⋯)
となる。したがって、与えられた不等式は
x−x22<x−x22+x33−x44+⋯<x−x22+38x3−516x4+⋯
である。第二項目までは、どの関数も共通であり、これらの関数の性質に違いが見られるのが3次以降の項の影響であることは明らかである。0<x<1の場合とx>1の場合にわけて、次数ごとに項別に比較をしてもよいかもしれない。ここを出発点にして、いろいろと面白いことが導けるだろう。
ちなみに、不等式の一番左は有限項からなるので「多項式」、真ん中の対数関数は無限べき級数(テイラー展開)となるので「超越関数」、一番右は無限級数にはなるが代数方程式の根として定義できるので「代数関数」である。したがって、この問題は「これら3種類の解析性をもつ関数のうち、最初の2項が一致するものの大小を比較して見た」という問題になっているのである。
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