x0とx1が一次独立の場合は、Am=Eであることは証明できた。つぎは、この2つのベクトルが一次従属でありながら互いに異なる場合、すなわちx1=αx0の場合を考えよう。ただしαは1ではない整数(α=1だと等しい2つのベクトルになってしまう)。
問題文でAx0=x1という関係式がそもそも与えられているので、組み合わせるとAx0=αx0が成立することになる。これは、x0がAの固有ベクトルであり、その固有値がαであることを意味する。つまり、固有値方程式のように見える。
この両辺に再度Aを作用させると、x2=A2x0=α2x0をえる。もし、α=±1だとすると、x2=x0となってしまって題意と矛盾してしまう。したがって、αは1のみならず、−1になってもよくないことがわかる。このようにして、Aをm回作用させると、xm=αmx0となる。
題意より、xm=x0だから、αm=1でなくてはならない。この方程式の実数解はα=±1(mが偶数の場合)、+1(mが奇数の場合)となるが、どちらの場合も除外しなくてはならないケースになっていることは既に見た。つまり、一次従属の場合はそもそも実現しないのである。
x1の変わりに、x2が議論の対象になったとしても議論の内容は変わらない。したがって、2次元ベクトル空間において、固有値方程式が2個以上の独立なベクトルに対して成立するのであれば、その行列は単位行列でしかありえないことが証明できた。
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