2013年3月31日日曜日

円錐曲線の幾何学的な意味:放物線(その1)

二次形式では表せないが、二次関数の代表である放物線の幾何学的な意味を考察してみたい。まず定義から。この定義は、たしか高校の教科書にも載っていたと思う。

y軸上に点Q(0,c)を取る。c>0と仮定する。

つぎに、y=-cの水平な直線lを考える。

最後に、点Fからの距離と、直線lからの距離が等しくなるような点P(x,y)の集合を考える。
点Qと直線lからの距離が等しい点Pの集合は、
放物線となる。

PQの距離の二乗は(ピタゴラスの定理により)x2+(y-c)2であり、直線lから点Pまでの距離の自乗は(y+c)2である。条件より、これら2つの量(距離の自乗)が等しいとすると、x2+(y-c)2=(y+c)2が成り立つ。両辺を見比べると、y2がうまく相殺できることがわかる。これにより、yに関しては線形項(つまり1次の項)のみが残ることになる。xに関しては明らかに二次式なので、整理すると
式(1)
すなわち放物線の式(あるいは二次関数の式)を得る。x=0のところで、点Fと直線lからの距離(cとなる)が原点で等しくなるように設定されていることから、この放物線は原点を通ることになった。

c<0とすると下向きの放物線となる。この証明には、座標をy軸に関してひっくり返すだけでよい。その後で、上の議論を繰り返せば同じ結論を得る。c=0の場合は、直線lと点Fが重なってしまうため放物線にはならない。そもそも、条件を満たすような点Pは原点のみとなり、曲線を描くことはない。この理由によりc=0は除外する。

ここで登場した点Q(0,c)は幾何光学で重要な役割を果たす。この点を「焦点」という。「放物線で反射した光線は必ず焦点に集まる」という幾何学的な意味を持っている。この性質を利用しているのがパラボラアンテナだ。そもそもパラボラ(parabola)というのは「放物線」という意味の英語だ。

焦点の持つこの性質を、計算で確認してみよう。
(つづく)

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